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ベーチェット病と歯と歯肉

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おはようございます♪

先日の記事http://ameblo.jp/friends-dc/entry-11570001232.htmlでご紹介した難病指定のベーチェット病と診断されているスタッフお母様の血液検査の結果が、改善しました。ベーチェット病は実は口腔内の細菌と関連があると言われていますが、これはどんな病気なのでしょうか?ベーチェット病は厚生労働省のHPによると、以下の4つの症状が主症状です。

http://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~behcet/about_see_standard.html

1、口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍

2、皮膚症状

・結節性紅斑様皮疹

・皮下の血栓性静脈炎

・毛嚢炎様皮疹,瘡様皮疹
参考所見:皮膚の被刺激性亢進

3、眼症状

(a)虹彩毛様体炎

(b)網膜ぶどう膜炎(網脈絡膜炎)

(c)以下の所見があれば(a)(b)に準じる

(a)(b)を経過したと思われる虹彩後癒着,水晶体上色素沈着,網脈絡膜萎縮,視神経萎縮,併発白内障,続発緑内障,眼球癆

4、外陰部潰瘍


そして病型は次の4つです。

1、完全型:経過中に4主症状が出現したもの

2、不全型:

(a)経過中に3主症状,あるいは2主症状と2副症状が出現したもの

(b)経過中に定型的眼症状とその他の1主症状,あるいは2副症状が出現したもの

3、疑い:主症状の一部が出現するが,不全型の条件を満たさないもの,及び定型的 な副症状が反復あるいは増悪するもの

4、特殊病変

(a)腸管(型)ベーチェット病―腹痛,潜血反応の有無を確認する。

(b)血管(型)ベーチェット病―大動脈,小動脈,大小静脈障害の別を確認する。

(c)神経(型)ベーチェット病―頭痛,麻痺,脳脊髄症型,精神症状などの有無を確認する。

参考となる検査所見

1、皮膚の針反応の陰・陽性
20~22G の比較的太い注射針を用いること

2、レンサ球菌ワクチンによるプリックテストの陰・陽性
レンサ球菌に対する過敏反応
ベーチェット病の患者の多くはStreptcoccus sanguisをはじめとする口腔内レンサ球菌に強い過敏反応を示すことから,レンサ球菌死菌抗原によるプリックテスト(細いツ判用,26G 針)で20~24 時間後に強い紅斑反応としてみることができる。

3、炎症反応
赤沈値の亢進,血清CRPの陽性化,末梢血白血球数の増加,補体価の上昇

4、HLA-B51(B5)の陽性(約60%)

5、病理所見
急性期の結節性紅斑様皮疹では中隔性脂肪組織炎で浸潤細胞は多核白血球と単核球の浸潤による。初期に多核球が多いが、単核球の浸潤が中心で,いわゆるリンパ球性血管炎の像をとる。全身的血管炎の可能性を示唆する壊死性血管炎を伴 うこともあるので,その有無をみる。



今回のお母様が大学病院で受けられた検査は、(1、2、4、5の検査は無しです。)3の炎症反応として、(赤沈値の検査はなし)血清CRPは0.2で(-)、末梢血の白血球数は8.6千/μlで正常値の範囲内、補体3は123mg/dlで正常値の範囲、補体4は15mg/dlで若干正常値より低め。

という訳で、血液検査の炎症の兆候を示す指標は(-)です。それから、尿検査での以前のデータと比較した時の変化としては、PHが6→7となって、やや酸性だった状態が改善されています。(因みにここ2カ月間で変えたことは、食事で野菜や果物をたくさん摂取してもらったことと、モリンダ社のノニジュースを飲用してもらったこと位です。)また、2~3ヶ月に1回起きていた腸管の発作も止まり体調も良くなってきています。というわけで、めでたく投薬も終了!とはならず、・・

血液検査の結果を渡す時に担当医の先生の説明は特になく、今回は「特に異常ないね。」の一言で、終了。そして、検査の紙を下さいというと、「え!いる?」との返答。コピー機壊れているんだよねとぶつぶつ言われながらも、なんとか、検査の結果を入手。そして以前と同じ多剤投与がまたなされたとの事でした。病院経営には難病ってよっぽど美味しんでしょうかね?私だったらここまで数値が改善したら、減薬をして欲しいと思いますが、転ばぬ先の杖なのか?患者さんへの思いやりなのか?投薬はこの先も延々と続けられて行くのでしょうね。なんて言ったって難病指定された病気ですから、治癒しなくて当たり前ですしね・・

でもお母さんの健康を取り戻すというスタッフとの作戦が結構上手く行っているので、嬉しくなりました。それで、今後の作戦としては、ベーチェット病は上記の厚生労働省のHPにも「ベーチェット病の患者の多くはStreptcoccus sanguisをはじめとする口腔内レンサ球菌に強い過敏反応を示す」と書いてあることからお分かり頂けると思いますが、口腔内の管理と密接な関係がありますので、歯医者としての思いやりとして、転ばぬ先の杖として口腔内の衛生管理をさせて頂こうかなと思っています。でも数値が改善して良かったよ~。担当医の先生とも喜びが分かち合えたら良かったのにね。

それから、ベーチェット病と口腔内の関連性を示す種々の記事が有ったのでご紹介します♪ベーチェット病の患者さんでは口腔内の管理はとても重要です。しかしながら、今回のケースでは、じつは先に口腔内の衛生管理はしていず、食事とノニジュース(モリンダ社製:日本で入手できるノニジュースでアメリカの医師の薬学辞典に記載されているのはこの会社のものだけです。このノニ・ジュース実は普通のジュースよりもちょっとお高め(サプリくらいかな~)で、しかもネットワーク販売(汗)。でも、物はいいので、お勧めしちゃいます。だって、食事の管理も完璧じゃなかったので、ノニジュースが無かったら、恐らく血液検査の改善は難しかったと思うので・・)で、栄養状態を改善しただけです。個人的には、栄養状態によって口腔内の状態はコントロール出来ると信じています。基本は医食同源でしょうね。現在医療はやっぱりヒポクラテスにはかなわないんですよね。



(翻訳開始)

ベーチェット病と歯肉と歯
http://behcets.blogspot.jp/2010/05/behcets-and-your-gums-and-teeth.html

ベーチェット病の患者さんは尋常でない歯科的な問題を抱えていることが、少なくありません。中には歯肉のラインに沿って虫歯がズラッと並んでたり、歯牙が崩壊し、補綴が必要な人もいます。中には歯牙を全部抜歯し、代わりに入れ歯を入れている人もいます。(入れ歯にして、適合が悪いと歯肉潰瘍や傷が出来たりする別の問題が生じます。)

もしも口内炎が沢山出来ているようなら、歯や歯肉の管理をするのは困難でしょう。歯肉、舌や口腔内のそのほかの部位に口内炎が出来ると、とても痛いので、ブラッシングやフロスをするのは非常に困難です。もし焼け付くような口内炎があるようであれば、歯医者や歯周病医のところに行って以下の歯科的な治療やクリーニングを受けるのはとても大変なことでしょう。

この件に関して、4月の終わりにベーチェット病協会の医学議会に出席した時に、ある歯科医のベーチェット病と口腔内の問題に関する話を聞きました。彼の妻がベーチェット病の患者で、異常な本数の根管治療の必要性を抱えていたので、その歯科医はこの問題に非常に興味を持っていました。正式な調査がなされた訳ではないが、彼の臨床的経験によると、「ベーチェット病の患者の約30%が複数の根管治療の必要性があった」と、言う事です。もしこの記事を読まれていて口腔内の問題(虫歯や歯に関連する問題)をお持ちの方がいらしたら、コメントをこの記事の下に下さい。また、この件に関して、正式な調査をしてくださる歯科医の方からのコメントもお待ちしております。

以下にベーチェット病と歯科の問題に関する論文の概論を載せておきます。
http://behcets.blogspot.jp/2010/05/behcets-and-your-gums-and-teeth.html

歯科と歯周病治療とベーチェット病の口内炎との密接な関連性:臨床的追跡調査

トルコのアンカラのギルハーネ医学学校口腔外科
Karacayli U, Mumcu G, Simsek I, Pay S, Kose O, Erdem H, Direskeneli H,
Gunaydin Y, Dinc A.
口腔病理医学雑誌2009年5月38(5):410-5

ベーチェット病の患者の口内炎症状に対する歯科や歯周病の治療の効果を確かめることはこの研究の目的です。被験者は58人の口内炎の症状を伴ったベーチェット病の患者です。29人の患者は歯牙や歯周病の治療をし、それに対して29人の対照群は口腔衛生教育をしたのみです。

結果
治療後2日以内では、新たな口内炎が出来、数が増加しました。しかしながら、歯牙や歯周病の治療の6ヶ月後は対照群と比較して、治療群では明らかに口内炎の数が減少しました。

結論
この結果から、ベーチェット病の口内炎と歯牙と歯周病の治療には密接な関連性があり、短期的には口内炎の数は増加しますが、長期的には口内炎の数は減少しますし、治療群の方が口腔内の状態が良好にもなります。

周病のパラメーターとベーチェット病と異なった治療方法の評価をアフタ性の口内炎の再発で行った
歯周病Res誌2009年12月Dec;44(6):718-25. Epub 2008 Dec 11.
Arabaci T, Kara C, Ciçek Y.
トルコ、エルズルムのアチュタルク大学歯周病科

アフタ性の口内炎があるとブラシをするのが大変困難ですので、口内炎の痛みを減少させれば、ブラークの蓄積や歯周病スコアを減少させ患者さんの口腔内の衛生状態の維持のモチベーションを上げることが出来ます。この対象実験の目的は、Nd:YAGレーザーをベーチェット病の患者の口内炎に照射治療し、術前術後の痛みと機能を評価し、ベーチェット病と歯周病の感受性の関連性を調査する事です。

結果
ベーチェット病患者でNd:YAGレーザー治療を行うと術後の口内炎の痛みが少なくなり、治癒も迅速になりました。

結論
ベーチェット病患者では病気の感受性に関連して、歯周病の状態も悪化しましたが、Nd:YAGレーザー治療はベージェット患者のアフタ性口内炎の症状に対して時間も短く、痛みも少ない治療ですので、臨床的に応用できます。


(翻訳終了)


続きはリンク先でお読みください。

また、こちらにも口腔内の衛生状態とベーチェット病の関連性の記載がありました。


◆ベーチェット病友の会大阪府支部第30回総会歯科検診報告
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Gaien/4572/koen03/naito.html
      平成16年10月10日に開催された第30回総会において、患者さんを対象とした歯科検診を実施しました。対象者は、23歳から76歳までの32名(男性19名、女性13名)でした。
治療が必要なむし歯を持つ者の割合は全体の34%、専門家による歯石除去が必要な者の割合は全体の16%認められました。

また、CPlTN(Community Periodontal Index for Treatment Needs)による評価で、歯周病あり(code3以上:歯周ポケット4mm以上)と診断された者の割合は38%でした。      検診時に口腔内のアフタを認めた者の割合は全体の28%でした。

今回の歯科検診の印象として、全般に高齢者は口腔保健への意識が高く、専門家のケアも      かなり行き届いているように思われました。その一方、若年者はむし歯の治療など歯科受診を必要とする者の割合が高く、口腔保健に対する意識を高める必要性が感じられました。

老年期の口腔内状態はQOLにもかかわってくるものであり、若年期からのケアがQ0Lの維持に重要な意味を持ちます。ぺ一チェット病の患者さんにおいては、疾病負荷を軽減するという見地からも、日頃から口腔保健に対する意識をより高く持つことが大切ではないかと考えてい ます。

◆おわりに
会員の皆様のご協力のお陰で、現在実施中のアンケート調査では全体の60%を超える方々から回答が寄せられています(平成16年11月26日時点)。
本調査は、ぺ一チェット病患者さんを対象とした口腔分野の調査としては、日本初の大規模 調査に位置づけられます。今回の調査結果は、これのみで因果関係を論じることはできないも  のの、患者さんの抱えている口に関する問題や状況について実態を明らかにし、今後の課題を提示しうるものと期待されています。これらの成果については、調査終了後にあらためてご報告したいと考えています。

(引用終了)

またBDの患者さんとしての視点から記録をされている医師の方のブログから引用させていただきました。


2010-03-13 抜歯と神経ベーチェット病の再発

抜歯後に再発した神経ベーチェット病の1例報告
http://d.hatena.ne.jp/sakurasasuke/20100313

| 19:49

A Case of Recurrent Neuro-Behcet Disease after Tooth Extraction

Seong-Min, Yun-Ju Choi,Joon-Tae Kim, et al.

Journal of Korean Medical Sciece 25, 185-7,2010

39歳の緩解中の神経ベーチェット病患者が抜歯10日後に、知覚障害を伴う左半身まひをきたした。数年前にも、この患者は抜歯後に同様のエピソードを経験している。頭部MRIでは新しい右視床に病変を認めた。脳脊髄液検査では、リンパ球優位の細胞増多と軽度のIgGの増加を認めた。抜歯から再燃までの時間のズレは、発症に免疫学的要素が重要である可能性がある。神経ベーチェット病患者では、歯科処置の前に注意深い予防と観察が必要である。

注)抜歯などの歯科処置後にベーチェットが再燃することがあることは良く知られています。その頻度となると調べた限りでは記載がありません。ここでは神経ベーチェットが再燃した初めてのケースとして報告しています。考察の中で、ベーチェット病では、口腔内の異常を伴いやすく、抜歯の機会も多いとする論文が引用されていました。(Mumcu et al. Rheumatology 2004;43:1028-33.)

歯科処置前後の具体的な対応についての記載はされていません。症例報告では、本当に稀なのか分からず、ただ病気が少なく、報告がされていないだけのこともあります。本当に知りたいことは、どうすれば再燃を防げるかということです。病気の活動性と歯科治療後の再燃との関連や抗生物質の予防投与の有効性などですが、まずは歯科治療時の増悪の頻度の確認が大切です。

(引用終了)

では、良い週末をお過ごしくださいね。














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