理趣経の宇宙の創造のエネルギーは性エネルギーで、そこを軽視しては真理から遠ざかる。と言う、大阪の金剛寺の松村住職の理趣経の解説がとても面白かったのでご紹介❤
とはいえ私自身は特に何か信仰を持っている訳ではありません。そして突然性愛に目覚めた訳でもありません。むしろ男女の愛欲とは無縁な50半ばのオバちゃんだ。でも、子供を3人授かり出産した経験から、宇宙創造のエネルギーが性エネルギーだという事は体験的に理解しているつもり。
そしてこの松村住職の理趣経の解説によればそれこそが真理で、愛欲が不浄なものだとする現代の風潮や、宗教による洗脳を解かない限り悟りのステップを踏めないという説に増々真実味を感じたし、性エネルギーを利用することにこそ、悟りの道があるというある種の確信的な思いにも至った。
さてそんな前提はさておき、理趣経(りしゅきょう)は、真言宗の常用経典で、常用経典とは、常に用いる経典ということで、真言僧はありとあらゆる法事でこの経典を誦えるそう。
そのくらい、真言宗にとっては無くてはならない経典ということです。また、真言宗以外でもお唱えする宗派もあり、そういう意味では理趣経は以外にポピュラーな経典であると言えそう。
この理趣経の正式名称は「大楽金剛不空真実三昧耶経・般若波羅蜜多理趣分(たいらくこんごうふくうしんじつさんまやきょう・はんにゃはらみったりしゅぶん)」という、お経を知らない私にとってはなんとも舌を噛みそうな位長い(笑)
短くして、般若理趣経という言い方もするそうなので、そちらを覚えておけば良いのかなと思う次第。
理趣経は「大いなる快楽に至る、堅固で永遠の輝きに満ちた、嘘偽りのない悟りの境地を示したブッダの教え・悟りに至る智慧の完成という、その真理へと向かう道を説いた部門」ということになるそうなのですが・・・
どうやら理趣経はちょっとヤバい経典とも言われているそうです。何がヤバいかというと、このお経が大胆に性愛を肯定し、奨励している点にあるそう。
松村住職は・・・
「ただでさえタブー視されている愛欲に関することを、事もあろうに神聖な仏教経典が肯定的に説なえているということ自体、確かにヤバい。
仏教はお釈迦さまの時代から、煩悩という悪い思いや行いを解脱、つまり煩悩という汚れた衣を脱ぐことで悟りを得ようとする教えである。その煩悩の最たるものである愛欲を肯定し、まして奨励するような経典は、もはや仏教経典ではない。
そう固定概念に囚われている人は思うだろう。しかし理趣経は密教経典である。普通の仏教経典ではない。では普通の仏教経典と密教経典は何が違うのか。
ズバリ、煩悩の捉え方である。この点を中心に、理趣経を読み解いて行こう。そうすれば、次第に理趣経が何を説きたかったのか、そして密教とは何かが理解出来るようになると思う。まずは乞うご期待である。」
とブログで語っています。
また、理趣経がヤバい経典と言われるゆえんは以下の17清浄句にあると言われている。
~17清浄句~
『わたし(大日如来様)はこれから、すべのものは清らかである、という教えを説く。それはこのようなものである。
性行為による恍惚感(エクスタシー)は清らかであるから、菩薩の境地である。
愛欲の矢を放つことは清らかであるから、菩薩の境地である。
性的な接触は清らかであるから、菩薩の境地である。
愛欲による束縛は清らかであるから、菩薩の境地である。
性行為によって得られる支配感は清らかであるから、菩薩の境地である。
愛欲の眼差しを向けることは清らかであるから、菩薩の境地である。
性的な悦楽感は清らかであるから、菩薩の境地である。
性愛の感情は清らかであるから、菩薩の境地である。
性行為によって慢心する感情は清らかであるから、菩薩の境地である。
異性を意識して外観を飾る行為は清らかであるから、菩薩の境地である。
性行為によって満たされた気分に浸る感覚は清らかであるから、菩薩の境地である。
性行為中の光り輝くような感覚(オーガスムス)は清らかであるから、菩薩の境地である。
肉体的な快楽は清らかであるから、菩薩の境地である。
色欲をもたらす事象は清らかであるから、菩薩の境地である。
色欲をもたらす声は清らかであるから、菩薩の境地である。
色欲をもたらす香は清らかであるから、菩薩の境地である。
色欲をもたらす味は清らかであるから、菩薩の境地である。
それはいかなることか。あらゆる事象はその本性において清らかであるからである。従って、悟りに至る智慧の完成(般若波羅蜜多)そのものも清らかなのである』
と大日如来はお説きになられた。
★そして松村住職は以下のように語っています。
「いきなり初段から、大日如来さまは理趣経のメインテーマをぶち上げられた。これが世に言う「十七清浄句(しょうじょうく)」である。長い間、理趣経の内容が世間に隠匿され続けた理由は、ズバリ、この「十七清浄句」の文言があるからである。
性愛行為による感覚、肉体的な快感、恍惚感や絶頂感、愛欲の感情、愛欲をもたらす視覚的要素、声や匂いや味に至るまで、十七の項目に分けて事細かに、露骨とも言える表現で描写している。」
★そして個人的になるほどな~と思ったのが、理趣経の曼荼羅図の以下の説明部分。
この曼荼羅の中央に描かれているのが、金剛薩埵という大日如来に教えを直接受けた菩薩のことで、私たちと大日如来の教えをつなぐ大切な役割をしている菩薩と言われている。(実存の人物ではありません・・・)
理趣会の曼荼羅:引用サイト
(以下松村住職のブログより)
それで、金剛薩埵の愛欲のエネルギーが、四つの要素に分割されて四方に放射されたイメージを持てばいい。この四方四菩薩を「欲触愛慢(よくそくあいまん)」とワンセットで呼称することがあり、まあ、これは覚えやすくて便利である。そして「欲触愛慢」の四方四菩薩の性的パートナーとなるのがそれぞれ欲金剛女菩薩、触金剛女菩薩、愛金剛女菩薩、慢金剛女菩薩である。
ただし、四菩薩の根源が愛欲のエネルギーである金剛薩埵なのだから、この四女菩薩もみな金剛薩埵の愛妃ということになる。さらに金剛界大マンダラ(成身会)にも登場する金剛嬉菩薩、金剛鬘菩薩、金剛歌菩薩、金剛舞菩薩、いわゆる「嬉鬘歌舞(きまんかぶ)」の四女菩薩も、
金剛薩埵の遊び女(あそびめ)であり、門衛を務める金剛鉤菩薩、金剛索菩薩、金剛鏁菩薩、金剛鈴菩薩、いわゆる「鉤索鏁鈴(こうさくされい)」も、性別ははっきりとはしていないまでも、金剛頂経のコンテキスト(文脈)から女菩薩と読み解ける。金剛薩埵の周りにはセクシーで美しい女性尊ばかり、まさにハーレム状態である。
男性諸君、羨ましいですか?。でも実はあなたも金剛薩埵なんですよ、とは何度も述べていることだが、理趣経では特に、金剛薩埵を愛欲のエネルギーと説いているところに特徴である。
いや、というより、そもそも金剛薩埵とは愛欲のエネルギーのことであり、この愛欲のエネルギー、言い換えれば性エネルギーが宇宙の創造エネルギーである、と密教は説いているのである。
★つまり密教である理趣経では、性エネルギーが宇宙の創造のエネルギーであり、全宇宙の根源的エネルギーの象徴でもある大日如来様は金剛薩埵でもある。そして金剛薩埵は「欲触愛慢(よくそくあいまん)」の愛欲のエネルギーで、清浄な行いである性行為でエクスタシーを感じる事こそが、悟りへと導いてくれる。そんな風に理解に至った。
そして以下の松村住職の考え方には大いに賛同しています。
「人間のように愛欲という欲求がなければ性行為に至らない場合もあるが、そうではなく、極めて本能的に交合するのが生物における生命活動である。それは種の保存を前提とした実にごく自然な営みであり、この生命活動を否定することは種の滅亡を意味する。
ところが人類は、いつの頃からか、この生命活動の原動力である性行為を羞恥的な、公序良俗に反する行為と規定するようになった。公然とセックスの話をすることは極端に憚られ、そんな人間は品性下劣の極みであると周りからも言われる。
文明度が高くなれば高くなるほど、その傾向は強くなっていった。特に宗教の世界がそうである。洋の東西を問わず、キリスト教も儒教も仏教も、その意味合いは違うが、愛欲の否定を説き、古くから現代に至るまでずっと民衆を先導して来た。
しかしよく考えてみると、なぜ愛欲を否定しなければならないのか。生命活動の原動力であり、種の保存のエネルギーである愛欲が、何を根拠に否定されなければならないのか。みなさんも、考えてみてください。わたし個人では否定する根拠が全く見当たらない。
青空のもと、若者たちが浜辺でセックスしていると、途端に警察に通報される。自分たちも家やホテルでしているのに、である。なぜセックスを隠れてしなければならないのだろう。そんなに後ろめたいことなのか。何がそんなに悪いのだろう。
映像での性描写はあそこが映っているかいないかが検挙の判断になる。なぜだろうか・・。突き詰めてゆくと、それは単に宗教的な洗脳によるものに過ぎない。その宗教観が倫理という仮面を被って常識化しただけで、そこには何の論理的な根拠はない。
だから密教は高らかに宣言する。愛欲は素晴らしい。愛欲こそ宇宙創造の生命エネルギーなのだ、と。世俗の常識の殻をブチ破らなければ、悟りのステップは踏めない。わたしはそう思っている。余談でした。」
★悟りを解いている宗教や教えは数多ありますが、松村住職が言うように愛欲は穢れた行為で、慎むべきものという教えが圧倒的に多い中、その逆を行く理趣経は極めて稀有な教えのように思える。
そしてこの理趣経の教えでは愛欲を持っていて良いどころが、愛欲、性エネルギーを上手く活用する事こそ悟りへ近道であることを示唆している。
~お知らせ~
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